お盆の時期になるとお位牌を仏壇から精霊棚に移して、お盆独特の飾りやお供えをして、ご先祖様をお迎えする用意をします。
それらのお盆独特の飾りをお盆飾りといいます。
お盆飾りは地域や宗教によって多少の違いがありますが、お供え物にはそれぞれに意味があるようです。
ここではお供え物のひとつである、水の子についてみていこうと思います。
水の子は、我が家に帰ってくるご先祖様だけでなく、お盆に帰ってくるすべての御霊に対しての供養になるように用意するものなのです。
ご先祖様以外ってどういうこと?と思いますよね。
そのあたりも含めて、水の子の持つ意味を本文で詳しく説明しますね。
また、水の子の作り方、水の子の蓮の葉の使い方、お盆の後の処理のしかたなどについても、合わせて紹介したいと思います。
お盆飾りの水の子にはどんな意味があるの?
水の子はお盆飾りのお供えのひとつです。
どのようなものかというと、お皿に蓮の葉を敷き、その上に細かく賽の目切りにしたナスとキュウリにお米を混ぜ、水を含ませて盛りつけたものです。
見た目には、夏野菜がみずみずしく盛られた涼しげなお供えですね。
お盆に帰ってくるご先祖様へのおもてなしとして、いろんなお供え物を用意しますが、この水の子は、実は餓鬼道に落ちた無縁仏へのお供えなのです。
餓鬼とは、この世に生きているとき悪いことをしてしまったため、死後の世界で飢えと乾きに苦しむようになってしまった鬼のことを言います。
餓鬼は、喉が針ほどに細くて食べ物を飲み込むことが出来ません。
また食べ物を口に入れようとすると火になって燃えて消えてしまうので、食べることが出来ません。
そのため、いつもいつも飢えと乾きに苦しんでいます。
想像しただけで、恐ろしい話ですね。
そこで、この水の子の持つ意味がわかってくると思います。
まず、ナスやキュウリを賽の目切りに細かく刻むのは、針ほどに細い喉でも飲み込みやすくするためなのです。
そして水を含ませるのは、口に入れる前に食べ物が燃えて無くなってしまわないようにするためなのです。
年に一度だけこの世に帰ってくる御霊を、我が家のご先祖様だけでなく無縁仏や餓鬼もすべて含めてお迎えし、もてなそうという温かい気持ちが込められているのですね。
水の子は優しさと気遣いの込められたお供えなのです。
また、このようなすべての御霊に対するお布施の気持ちは、ご先祖様のご供養にもなるそうです。
水の子の作り方は?
水の子の作りに用意するもの
- キュウリ
- ナス
- 米
- 蓮の葉(里芋の葉を使う地域もあります)
水の子の作り方
- お米を研ぎます。
- ナス・キュウリをさいの目に細かく刻みます。このとき、ナスを熱湯にさっとくぐらせて冷水に取ると、変色を避けられます。
- お皿に蓮の葉を敷いて、お米とナス、キュウリを盛り付け水を含ませる。地域によっては、水に浸すところもあるようです。
蓮の葉の使い方は?どこで買えるの?
水の子での蓮の葉の使い方は、お皿に敷いてその上にナスやキュウリを盛り付けます。
蓮の葉はお供えの食べ物ではなく、盛り付けの彩り的な意味合いや器としての使い方が考えられるようです。
蓮の葉は花屋やホームセンター、ネット通販で販売されています。
しかし、蓮の葉が手に入らない時は、里芋の葉やフキの葉などで代用することが出来ますし、また緑の葉の絵皿やガラスの器などで美しく盛り付けるのもいいのではないでしょうか。
形式も大事ですが、出来る範囲でのおもてなしの心があれば、喜んでいただけると思います。
お盆の後の水の子の処理はどうしよう?
お供えした後の水の子などのお供え物は、昔は川に流すという風習があったそうです。
また、土に還すのが良いともいわれます。
庭があり、埋めることが出来る状態であれば、土に還すのがいいと思います。
しかし環境問題のこともあり、自然に還すのは難しいかもしれませんね。
現代のお供えの処理のしかたは、半紙などの白い紙に包み、塩で清めて家庭ゴミとして処分するのが、一般的だと思います。
なんとなくゴミに出すのは気がひけますが、現代ではしかたないですね。
お供えを下げるときに、仏前でお供え物を下げて頂きましたという感謝の気持ちをお伝えしたら、ご先祖様たちも理解してくださると思います。
我が家では、下げたお供えは塩で清め半紙で包み、ビニール袋に入れてゴミ出しの日まで冷蔵庫で保存しています。
まとめ お盆飾り「水の子」の意味と作り方。蓮の葉の意味と使い方!
お盆前になると祖母が仏壇の前に精霊棚を作り、ご先祖様をお供えする用意をする風景は子どものころからずっと見てきました。
しかし、お供え物の意味を深く知る機会もなく今まで過ごしてきました。
ここで、水の子というお供えについて調べてみたのですが、その意味を知り、他のお供え物についてもいろいろ知りたくなりました。
今年のお盆は、お供えに込められた意味に思いを馳せながら、帰ってくるご先祖様をはじめとするすべての御霊が喜ぶおもてなしをしたいと思います。