お盆というのは祖先の里帰りのようなものです。
あの世(浄土)からこの世に戻ってくる祖先の霊を迎える年中行事です。
祖先は歓迎するけれど、お経を読むためにお坊さんが家に来るのは気が重いという人も多いのではないでしょうか。
お坊さんに来てもらうことは絶対に必要なのでしょうか?
それとも断っても構わないのでしょうか?
棚経のしきたりやマナーについてまとめてみました。
お坊さんを迎えるのにマナーはあるの?
今の時代は美容室に行くにも予約システムを使いスマホで簡単に自分の希望枠に入力します。
しかし、仏教の世界ではまだまだ手軽なシステム化は進んでいません。
お寺からお盆に伺う日時として葉書等でお知らせが来ることが多く、こちらからの希望を通すのは難しいでしょう。
なぜならお盆の数日間でお坊さんはたくさんの家を回るからです。
その数は何十何百もあるのですから、お寺側の予定を優先するしかないのです。
ただその日程が都合悪ければ申し出ればいいでしょう。
お坊さんを迎えるときの服装は特に決まっていませんが、派手な格好は避けた方がよさそうです。
落ち着いた色の普段着でも大丈夫ですよ。
お坊さんがたくさんの家を回ることを考えるとお茶やお菓子のおもてなしも押しつけがましくない程度が望ましいです。
お布施は最後に小さなお盆にのせて渡します。
5千円から2万円が相場ですが気持ちを表すものですから自分で決めて構いません。
白い封筒に入れ、お布施と書いた下に名前を記入します。
裏に住所や電話番号を書いておくと喜ばれることがあります。
お坊さんが遠方から来られる場合、お車代を渡す人もいるようです。
お盆にお坊さんが家に来る時の断り方
上記のように、お坊さんをお招きするのにはマナーもあって気疲れする人もいます。
断ってもいいのでしょうか?
棚経は義務ではありませんから断っても大丈夫ですよ。
ただお互いの気分が悪くならないような断り方をしたいですね。
「やむを得ない事情がありまして棚経を遠慮させていただきます」とお断りしてもいいでしょう。
家族の葬儀や法事をお願いする寺のことを菩提寺と呼びます。
納骨などでもお世話になる菩提寺との関係は良好な方がいいので、断り方には気をつけましょう。
棚経と言われるのはどんなもの?お布施とは何?
お盆に寺からお坊さんが来て、仏壇の前でお経を読んでいただくことを棚経と言います。
筆者の実家にも仏壇があったので物心ついた頃からお盆にはお坊さんが来ていました。
だからお盆にお坊さんが来てお経を読むことは当たり前のことと思って育ちました。
しかし袈裟を着た知らないおじさんが家に入ってくるのですから緊張感がありました。
姉と2人、両親の後ろからお坊さんの後ろ姿を見て行儀よく正座して渋い声に耳を傾けました。
いつもと違う家の中の空気感と聞き慣れない低い声に突然笑い出しそうになることがありました。
しかし子どもながらに笑ってはいけない場とわかっていたので笑いをこらえて時間が過ぎるのを待ちました。
何やら母がお坊さんをもてなして、最後に封筒を渡していたことを覚えています。
それが、お布施というものだと知ったのは大人になってからです。
祖先のためにお経を読んでいただいたお礼の気持ちを、お布施という形であらわしていたのです。
お布施というのは布を施すと書きますが、自分が所有するものを他人のために施すことができるか、自身の執着を解き放つための修業のひとつとも言われています。
相場はあるものの、一回いくらと決まってないところも自分の考え方が試されているように思いますね。
お盆にお坊さん家に来る時の断り方【まとめ】
この記事では、棚経やお布施、お坊さんを迎え入れる際のマナーなどについてお伝えしました。
しかし昨今、時代は急激に進みました。
西洋占星術によると2021年から風の時代が始まりました。
伝統やしきたり、常識に重きを置いてきた地の時代は終わり、風の時代は自分らしさを求める個の時代と言われています。
柔軟な価値観が求められるようになり、これまで常識だったことも変わりつつあります。
新型コロナウィルス感染症が流行したことにより、お盆のしきたりについても簡素化が進みました。
祖先も、子孫たちが自分を大切にして幸せに暮らすことを何よりも望んでいると思います。
お盆に関しても、常識にとらわれて負担に思うことを無理してやるより、できることをできる範囲でやればいいのではないでしょうか。
棚経は祖先の供養になりますが、私たち子孫が健康で幸せに暮らすことが何よりもの供養になることを忘れないでいましょう。
お盆には、形より祖先に感謝する気持ちが何より大切なのです。