おせち料理の中でも代表とされる縁起物の三種類を一般的に「祝い肴三種」と呼びます。
おせちは江戸時代から定まっていたようで食材は安価に手に入り、かつ日持ちするもので運搬にも適したものだったようです。
この代表格とされる食材は地域によって違い、関東では「数の子、黒豆、田作り」関西では「数の子、黒豆、たたきごぼう」となっています。
関東ではおせち料理の代表ともいえる田作り、この田作りについて今回は徹底検証していきたいと思います。
田作りは田んぼの肥料として使われており豊作になったことから豊作祈願の意味が込められています。
だから名前が田作りなのかと納得させられますね。
小さい魚ながらも尾頭付きであり、最初から最後まで全うするということで縁起が良いとされています。
では、「いりこ」という言葉は聞いたことがありますか。
なんとなく響きの雰囲気だけで感じると似たようなものの気がします。
では、ここから田作りといりこの違いについて徹底的に比較していきたいと思います。
田作りといりこの違いって何?
田作りは片口鰯の幼魚をそのまま乾燥させ、甘辛く味をつけたものです。
いりこは片口鰯の幼魚を海水もしくは薄い塩水で煮てから乾燥させたものです。
比較すると、違いは製造過程にあります。煮てるか煮てないかということですね。
いりこは別名煮干しと呼ばれます。
煮干しと言われるとピンとくる方も多いかもしれません。
主に西日本でいりこと呼ばれており東日本では煮干しと呼ばれております。田作りにも別名があり「ごまめ」とも呼ばれます。
当時、片口鰯を肥料として田んぼに撒いたら五万米の米がとれたという説からきています。
田作りといりこのココを見て比較してみよう!
田作りはそのまま乾燥したもの、いりこは煮てから乾燥したものと書きましたがある部分を比較することで一発で見分けることが出来ます。
それは「目」です。田作りは煮ていないので、黒いままです。
一方いりこは煮ているので白く変色しています。
魚の目はタンパク質で出来ているので熱を加えると白くなります。機会がありましたら目を比較して見てみましょう。
田作りといりこを歴史から比較してみよう!
では、それぞれいつから食べられていたのか歴史から比較していきましょう。
おせちの起源は弥生時代まで遡ります。
そして定着したのが奈良時代から平安時代と言われています。
季節の節目を祝う特別な料理「節供」せちくが用いられたのが始まりで、今のおせちの起源であるといえます。
現代では田作りもごまめも同じものを指していますが、歴史上ではごまめは戦国時代から田作りは江戸時代から食べられています。
ごまめの方が歴史は長いのです。
いりこは比較的最近で明治時代から食べられるようになりました。
それぞれの形を比較して良品を見つけよう!
田作りは頭と尾が取れておらず小粒で形が整ったものがよく、ここにも地域差があるようで、東日本だと佃煮などにして一年中食べることからサイズより白みがかった色を重宝します。
西日本だと一年に一度という考えから、サイズも大きめで青みががった色が重宝されます。
一方いりこは体が曲がっているほど美味しいといわれています。比較すると、同じ魚であるのに形によって美味しさが変わってくるとは不思議なものです。
田作りといりこの違いってなに?【まとめ】
田作りといりこについてさまざまな面から比較してきました。
製造過程がちがうだけでもともとは同じ食材がここまで変化してちがった食べ物になることに驚きです。
塩で食材の旨みを引き出すことは知っておりましたが、いりこがまさにそうだなと感じました。
そのまま食べても美味しいし、良い出汁も出ますし塩水で煮る工程は納得です。改めて日本食の素晴らしさと昔からの知恵に驚きです。