あなたは「書き初め」に使ったあと、墨で汚れた筆の洗い方やお手入れの方法をご存じですか?
久しぶりにお習字道具を出して新年の書き初めを書いたあとに、いざ片づけようとすると「筆の洗い方はどうするの?」「お湯や洗剤を使ってもいいの?」と悩むものですよね。
普段からお習字教室に通っていなければ、筆の洗い方がわからなくて戸惑うものです。
結論からいいますと、太い筆(大筆)の洗い方は、ぬるめのお湯で洗います。
細い筆(小筆)は洗わずに、水に湿らせたティッシュペーパーなどで筆先の墨をぬぐい取ります。
せっかく良い筆を買ったとしても、きちんと洗って手入れをしないと筆を傷めたり、カビが生えたりして台無しになってしまいます。
来年の書き初めでも筆がすぐに使えるように正しく保管しましょう。
この記事では、大筆や小筆の洗い方について詳しく解説します。
また、正しい保管の仕方、お手入れの仕方もわかりやすくご紹介します。
最後まで読んでいただければ、書き初めに使った筆の後片付けがわかっていただけるはずです。
【書き初め】筆の洗い方やお手入れ方法の基本
大筆と小筆の洗い方や手入れの方法には違いがあります。それぞれ詳しく解説します。
大筆のお手入れ方法
書き初めに使った大筆は、人肌くらいのぬるま湯で洗います。
筆の根元は、毛が差し込まれている部分が密集していて墨が入り込んでいます。
この部分に入り込んだ墨を取り除けば、筆が長持ちしやすくなります。
水道水なら水圧を弱くした流水のもとで、穂先を下に向けた筆をほぐすように指の腹でやさしくもみ洗いします。墨は思ったよりも根元の方まで浸み込んで固まっています。
洗っているうちに黒い色が出てこなくなりますので、ていねいに洗いましょう。最後に筆の形をきれいに指で整えます。
その後は筆の持ち手の吊りひもをS字フックに引っかけて自然乾燥しましょう。筆専用の「筆吊り」をお持ちの方はそれを使ってください。
小筆のお手入れ方法
小筆の場合は大筆と洗い方が違います。もともと小筆は糊(のり)で形が固められていますので、使い終わった小筆は根元から洗ってはいけません。
不要なティッシュペーパーや書き損じの半紙などを水でぬらして、小筆の穂先の墨をぬぐうように何度も繰り返し回転させます。こうすると墨が徐々に薄くなっていきます。
最後に指先で穂先を細くするように軽くつまんで整えます。
きれいになった小筆は、大筆と同じようにS字フックや筆吊りにつるして乾燥させます。
筆を洗うのにお湯や洗剤を使ってはいけない
書き初めで使った後の筆を洗うのに、熱いお湯や洗剤を使ってはいけません。筆は動物の毛で作られているからです。筆を洗剤で洗うと、せっかく毛についている脂分が落ちてしまいます。
大筆の場合は、書き初めが終わったら、ぬるま湯を入れた容器の中で筆を振り洗いするのがおすすめ。その後に流水のもとで丁寧にやさしく洗うとよいでしょう。
小筆の場合は、筆についた墨が乾かないうちに書き損じた半紙やティッシュペーパーで軽くふき取りましょう。
書き初めの後に筆を長持ちさせる保管の仕方
筆はきれいに洗ったり、拭った後は、買ったときの筆の形を再現するように整えてから乾燥をしっかりさせましょう。
本格的な筆吊り(筆架)がなくても、S字フックなどに筆のひもを引っかけて穂先が下になるようにして1日から数日乾かします。
湿気が残っているとカビの原因になり、筆を傷めてしまうからです。
同じ理由から、購入していたときにキャップがついていたとしても、キャップをしてはいけません。湿気がこもるからです。
しっかりと乾燥させることで、来年も書き初めの筆として使えます。きちんとしたお手入れをしてお気に入りの筆を大切に使い続けましょう。
書き初めの筆の洗い方は?【まとめ】
いかがだったでしょうか。
この記事では筆の洗い方やお手入れ方法について詳しく解説しました。書き初めに使った筆は、お湯や洗剤で洗ってはいけないことがわかっていただけたと思います。
新年のイベントである「書き初め」は一年に一回なので、筆の洗い方はどうするの?と毎年悩んでしまうもの。
書くときは意気揚々となるものですが、後片付けをしようとすると正しい保管の仕方はどうすればいいの?と考え込んでしまう方が多いです。
最近では毛筆で字を書くことが少なくなりましたが、日本の伝統的なお正月の「書き初め」は伝えていきたい大切な文化。
新年の抱負や目標を書き初めに書いたあとは、筆を正しく保管して、来年の書き初めの時も使いやすい筆を使いましょう。