桜の種類である「エドヒガンザクラ」を知らなくても、「ソメイヨシノ」は聞いたことがあると思います。
実はソメイヨシノとは、桜の原種であるエドヒガンザクラとオオシマザクラをかけ合わせた栽培品種なのです。
今回の記事では、そのエドヒガンザクラの開花時期や特徴について調べてみました。
エドヒガンザクラは何故この名前?
エドヒガンザクラ(江戸彼岸桜)は、別名でアズマヒガン(東彼岸)やウバヒガン(姥彼岸)と呼ばれています。
「江戸」や「東」とは、関東地方という意味であり、彼岸とは春の彼岸(3/20前後)頃に咲くために付いた名前となります。
またなぜ「姥」なのかというと、葉より前に花が咲く様子を、歯(葉)のない老婆のようだという風に呼んだためです。
エドヒガンザクラは青森県から、鹿児島県までの広範囲で見られていますが、一部確認されていない地域もあります。
エドヒガンザクラの特徴
名前の由来にもあったように、葉が出る前に5分咲きの花を咲かせます。花の直径は約3センチで小さめであり、薄紅色または白色の花が多いです。
日向を好み、乾燥することを嫌います。原種の特徴である一重咲きで2〜5輪がまとまって咲きます。
葉より先に大量の花が咲くので、見栄えが華やかであることが特徴です。エドヒガンザクラは、ソメイヨシノよりも花が咲くのが少しだけ早いです。
6月末頃に、花の後でサクランボができるものの、酸味が強いので食用にはなりません。
また、寿命が60年程とされるソメイヨシノに比べて、エドヒガンザクラは長寿で巨大になる一本桜が多いです。
例えば、樹齢2000年超の神代桜(山梨県)、樹齢1500年超の淡墨桜(岐阜県)、樹齢1000年の樽見大ザクラ(兵庫県)や醍醐桜(岡山県)などがあります。
エドヒガンザクラは長寿な分、花が咲くまでに時間がかかります。高さが10m程度に育ってから初めて花を付けるようで、場合によっては開花までに数十年かかります。
長寿のせいか、樹の皮は年を経るにつれて剥げてしまうことが、他の桜にはあまり見られない特徴となります。
エドヒガンザクラの名所
宇木(長野県)
宇木のエドヒガンザクラ(千歳桜)は樹齢850年!!県の天然記念物に指定されており、開花時期は4月上旬です。
春谷寺(三重県)
春谷寺のエドヒガンザクラは樹齢400年。桜の下は石仏が並び、開花時期は3月下旬から4月上旬。松坂市の指定天然記念物となっています。
吉良(徳島県)
吉良のエドヒガンザクラは樹齢は400年とされ、幹周りだけで4m以上にもなります。開花時期は3月中旬から4月上旬で、こちらも県の指定天然記念物です。
森湯谷(広島県)
森湯谷のエドヒガンザクラは樹齢400年とされ、県の天然記念物です。高さは25mもあり、開花時期は4月初旬です。
小岩井農場(岩手県)
小岩井農場のエドヒガンザクラは樹齢100年とされ、牛から日差しを守るために植えられました。開花時期は4月下旬から5月上旬です。
エドヒガンザクラの開花時期と特徴は?【まとめ】
・エドヒガンザクラは関東地方で、春の彼岸頃に咲く桜である
・葉が出る前に花が咲き始め、原種の特徴である一重咲きが特徴
・ソメイヨシノに比べて樹齢が長い木が多く長寿である
・長寿な分、花を付けるまでに何年もかかる
・日本各地にエドヒガンザクラの名所がある
今回の記事では、エドヒガンザクラの特徴や名所について解説しました。
ソメイヨシノの親であることや、樹齢2000年超えの桜があるとは驚きでしたね。
各地にエドヒガンザクラの名所があるので、桜の時期に見に行ってみてはいかがでしょうか。