自分は無宗教と思っている日本人がとても多いそう。
私もそうでした。
しかし、お葬式や法事などに出席することが多くなった今。
自分のルーツは仏教なんだなとしみじみ感じます。
仏教はみんな同じとなんとなく思っている人、いませんか?
宗教によって教えや経典、回忌の数え方など違いがあるんです。
特に浄土真宗。
他の宗派とかなりの違いが。
こ機会に浄土真宗がどんな教えなのか触れてみましょう。
知っておくとお葬式や法事に役立ちますよ。
同じ京都に大谷派と本願寺派、2つの本山を持つ浄土真宗。
歴史と共に、教えや違いなどを私なりの解釈でご紹介していきます。
大谷派、本願寺派とは
浄土真宗は門徒(信者)が1240万とも言われ、日本最大の宗派です。
浄土宗を説いた法然を師と仰いだ親鸞。
彼が鎌倉時代に浄土真宗として開きました。
親鸞は「肉を食べる、妻を持つ」という当時のお坊さんではあり得ないことをしています。
お坊さんではご法度とされていたこの行為。
実は親鸞の作戦。
人に非難されることで自分の存在が目立つようになる。
つまり、浄土真宗も一緒に注目されるということ。
さらにわかりやすい言葉で伝えることで一気に庶民に広がりました。
多くの門徒(信者)を持つことで浄土真宗の勢力は莫大なものに。
大名どころか時の将軍さえも手をやくほど…。
本願寺消失後、豊臣秀吉の命により京都の烏丸に浄土真宗本願寺が建てられました。
その後門徒内で対立が起き、教如を門主とした門徒が本願寺をでることに。
そして徳川家康に与えられた東の土地に東本願寺を建てます。
勢力を持ちすぎた本願寺。
その力を分散させることができたので家康もにんまり。
これが今の西本願寺と東本願寺になるわけです。
正式な呼び名は
西本願寺→「浄土真宗本願寺派」本願寺派
対立の原因は政治的なもの。
なので、分かれたとはいえ両宗派とも教義に大きな違いはありません。
葬儀やその内容や読経の節回し、言い方などに多少の違いはありますが…。
どちらもご本尊は阿弥陀如来です。
ただ浄土真宗は他の宗派と大きく違う特徴があるんです。
浄土真宗の教えは他力本願
日本の仏教はほとんどが大乗仏教。
人は亡くなると、生前の行いで輪廻転生するという教えです。
四十九日で生まれ変わる先が決まって極楽浄土へ。
それまでは霊の存在。
遺族はこの間、故人があの世へ無事に行けるように祈ります。
しかし、浄土真宗は魂を慰めるいう概念がないんです。
人は亡くなるとすぐに仏となり、阿弥陀如来の下で浄土に住めるという教え。
だから魂を鎮めるためのお経や供養は必要ないんです。
故人を供養できるのは阿弥陀如来だけ。
たとえどんなに悪人でも、祈れば阿弥陀如来に救われるんです。
阿弥陀如来の絶対的な力でみんなが仏になれるということ。
阿弥陀如来にすべてをゆだねる…。
これが他力本願と言われる教えです。
なので、葬儀ではご冥福をお祈りしますの言葉はタブー。
ご冥福とは死後の幸せを願う意味です。
死ではなく仏様となったのですから、冥福は必要ありません。
もちろん身近な人が亡くなったのだから悲しいもの。
仏になったとはいえ人間としての生は終わってしまう。
お悔やみの言葉の一言は遺族にかけたいもの。
「謹んでお悔やみ申し上げます」
「哀悼の意を表します」
がいいですね。
ちなみに お香典袋は御霊前の表書きは失礼にあたります。
すでに仏になっている故人。
必ず、御仏前の袋を用意しましょう。
浄土真宗の法事は生きている人のため
葬儀と同じく、法事も供養の意味で行うわけではありません。
他の宗派では故人の冥福を祈り、供養をすると考える法事。
故人に喜んでいただきたいと考えて行いますよね。
故人のために、残された者がするべきものだと…。
浄土真宗では故人は仏となって生きているので、供養は必要ないんです。
『故人が喜ぶこと、それは遺族が幸せになること。
人の死に向き合って改めて自分を見つめ直す。
親戚が集まり、仏事に触れる機会を与えてくれた仏と阿弥陀如来に感謝をする。』
これが浄土真宗の法事の意味です。
お坊さんのお経も故人の魂を慰めるものではないのも特徴的。
生きている者が幸せになるための読経なのです。
知っておきたい大谷派、本願寺派の違いと共通項
開祖は同じなのでその教えはほぼ同じ大谷派と本願寺派。
しかし、それぞれ独立した宗派。
やはり少し違いがあります。
大谷派と本願寺派の法事の違いを調べてみました。
大谷派(正式名称 真宗大谷派)
主な年忌法要…百か日(亡くなった日から100日目)
三回忌(亡くなった翌年の命日前後)
七回忌、十三回忌、十七回忌、十七、二十五、三十三、五十、、、百回忌
手を合わせず一礼、お焼香は額にいただかず二回。
本願寺派(浄土真宗本願寺派)
主な年忌法要…四十九日
十七回忌までは大谷派と同じだが二十七回忌と三
十七回忌があります。
手を合わせず一礼、お焼香は額にいただかず一回。
両派とも御本尊は阿弥陀如来像ですが、少し違いがあります。
http://narmu.co.jp/faq/syuuha/x-honzon/amida2.html
本願寺派の阿弥陀如来像は後光の下にも舟後光があります。
しかし、大谷派の方には舟後光がありません。
それと両派ともに数珠はとても大切なもの。
数珠なしで祈るのは阿弥陀如来に素手で触れるようなもの。
法事の時に絶対忘れてはいけないものです。
花やお供え物と一緒にお香典を…と考える方もいるでしょう。
お香典は一般的にお線香代の意味。
葬儀みたいになってしまうので、「御香資」「お香儀」にした方が無難。
香典袋は黒白か黄白の水引のものを用意します。
「法事なのに黄白?」と思いませんか?
浄土真宗の門徒が関東より多い関西ではよく使われるそうです。
法事は仏との縁で念仏を唱えて教えをいただけるありがたい機会。
なので、やや慶事よりに考えられるんです。
浄土真宗の法事の特徴!回忌って?大谷派と本願寺派の違いとは?【まとめ】
私なりに調べたことなので間違いや見解の違いはあるかと思います。
同じ宗派でも、土地や寺によって違いがあるので事前に確認が必要。
私は葬儀も法事も故人ありき、故人のため…と思っていました。
故人は仏となって浄土で生きている。
法事は供養のためではなく、生きている人達のためのもの。
そしていつか自分が最後の時を迎えたら仏になって阿弥陀如来と先
に亡くなった故人の下へ…。
浄土真宗の教えなら、死ぬことの怖さや不安が和らぎそうですね。